3行でわかる西之島の現在
  • 爆発的な噴火は一時的に停止中。ただし噴火警報(周辺海域)は継続し、噴気と変色海域が観測されている。
  • 2013年からの噴火で面積は約2.9km²・標高160mまで拡大(噴火前の10倍以上)。
  • 火口からおおむね2.5km以内は立入危険。一般の上陸・接近はできない。

西之島とは — 海から生まれ拡大する島

西之島(にしのしま)は、東京の南約930〜1,000kmの小笠原諸島にある海底火山が海面上に姿を現した火山島です。もともとは差し渡し数百mの小さな島でしたが、1973〜74年の噴火で隣に「西之島新島」と呼ばれる陸地が生まれ、旧島とつながって一体になりました。

2013年11月、約40年ぶりに噴火が再開。以降の噴火活動では流れ出た溶岩が次々と海に達し、島の面積はもとの10倍以上に拡大しました。今も成長と浸食を繰り返す、世界的にも貴重な「島ができる現場」です。

現在の活動状況(2026年)

2026年時点で、爆発的な噴火は一時的に止まっていますが、西之島には火口噴出型の噴火警報(周辺海域警戒)が継続して発表されており、上陸・接近はできない状態が続いています。2026年前半の観測では、火砕丘の内部から白煙が上がり、火口縁や外斜面に噴気活動が確認されました。衛星・航空機の観測では周辺の変色海域も引き続き見られ、地下のマグマ活動は継続しているとみられます。

西之島は活発な噴火期と静かな時期を繰り返しています。噴火が一時的に止まっている期間でも、火口からの噴気、周囲に広がる変色海域、海底の隆起などが観測され、活動が続いていることを示しています。海上保安庁・気象庁・国土地理院が航空機・衛星で継続的に監視しており、噴火が再び活発化すれば噴煙や溶岩流出が起こる可能性があります。

  • 島の拡大:溶岩の流出により海岸線が変化。噴火のたびに面積・標高が増減します。
  • 海底の隆起:火口周辺の海底が持ち上がり、新たな浅瀬ができることがあります。
  • 変色海域:火山ガスや鉱物で海水が黄緑〜茶色に変色し、活動の指標となります。

西之島の面積・標高の推移

「西之島はどれくらい大きくなったのか」は最も多い疑問のひとつです。噴火前後のおおよその変化は次のとおりです。

時期陸地面積の目安標高の目安主な出来事
2013年11月以前約0.02〜0.06km²約25m1973〜74年噴火でできた小島の状態
2015年ごろ約2.7km²約110m溶岩流出で旧島をほぼ覆い尽くす
2018年12月約2.9km²約160mいったん活動が落ち着く
2020年6〜8月拡大200m超に達したとの報告噴煙高度8,000m超の最大規模の噴火
2021年〜現在約2.9km²前後で増減約160〜200m小規模噴火と静穏期を繰り返し、波の浸食で海岸線が後退

※数値は海上保安庁・国土地理院の観測に基づく概数です。噴火と浸食のバランスで海岸線は常に変化しており、正確な最新値は国土地理院の西之島情報を確認してください。

2013年〜現在の活動年表

できごと
201311月、南東沖に新たな火口が出現し噴火開始。溶岩流出で旧島と連結
2014〜2015噴火が継続し面積が急拡大。旧島をほぼ覆う
2016〜2017いったん噴火が停止。研究者が上陸調査を実施
2017末〜2018噴火が再発、その後再び静穏化
2019〜20202019年末から活動再開。2020年6〜8月に観測史上最大規模の噴火
2021〜2023ごく小規模な噴火と噴気活動を断続。変色海域が継続
2024〜2026爆発的噴火は目立たないが噴気・変色海域は継続。噴火警報(周辺海域)継続

近づける? 上陸できる?

西之島の周辺には火口からおおむね2.5kmの警戒区域が設定され、一般の上陸・接近はできません。突然の噴石、有毒な火山ガス、海中への崩落などの危険があるためです。研究者による上陸調査も、安全が確認された時期に厳重な装備で限定的に行われるのみです。観光で訪れることはできませんが、海上保安庁が公開する観測写真や映像で最新の姿を見ることができます。

⚠ 西之島周辺の海域は危険です。最新の警報・警戒区域は 気象庁の西之島の火山情報 を確認してください。

西之島は今後どうなる?

専門家の見方はおおむね次の2点に集約されます。

  • マグマの供給が続く限り、噴火と拡大を繰り返す — 西之島の地下には安定したマグマの通り道ができており、数年単位で活動期と静穏期を行き来すると考えられています。次の活発期には再び溶岩が海へ流れ、面積が増える可能性があります。
  • 活動が止まれば、波の浸食で縮小する — 新しくできた溶岩の陸地はもろく、外洋の波に削られやすい性質があります。噴火が長期間止まれば海岸線は後退し、島は少しずつ小さくなります。

噴火の時期や規模を正確に予測する技術は現時点でありません。ただし西之島は無人島で居住者がいないため、防災上の直接的な脅威は周辺を航行する船舶と航空機に限られます。海底噴火に伴う軽石が漂流し、遠く離れた海岸に漂着することもあります(2021年の福徳岡ノ場の例が知られます)。

硫黄島の隆起との関係

同じ伊豆・小笠原・マリアナの火山列には、近年大きく隆起を続ける硫黄島もあります。硫黄島では地下のマグマだまりの影響で島全体が年数十cm〜1m規模で持ち上がっており、これは世界でも有数の速さです。過去数百年で数十mも隆起した記録があり、沖合では新たな海底噴火も発生しました。

西之島と硫黄島は別々の火山で、片方の活動がもう片方を直接引き起こす関係ではありません。ただし、いずれも太平洋プレートの沈み込みがつくり出す活発な海洋火山活動の一部であり、「日本がいかに火山でできた国か」を示す現場といえます。硫黄島の「拡大」「隆起」で検索してたどり着く方も多いですが、島が横に広がっているのは西之島、島全体が上に持ち上がっているのが硫黄島、と整理すると分かりやすくなります。