日本には111の活火山がありますが、そのすべてが常時監視されているわけではありません。火山噴火予知連絡会が「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として選定した50火山が、気象庁の火山監視・警報センターで24時間365日監視されています。これが一般に常時観測火山と呼ばれるものです。

常時観測火山 50座 一覧(地域別)

下の表が気象庁の常時観測対象となっている火山の一覧です。火山名をクリックすると、標高・噴火履歴・登山情報を含む詳細ページを開けます。

北海道(9火山)

火山名所在地標高
アトサヌプリ北海道512m
雌阿寒岳北海道1,499m
大雪山(旭岳)北海道2,291m
十勝岳北海道2,077m
樽前山北海道1,041m
倶多楽北海道549m
有珠山北海道733m
北海道駒ヶ岳北海道1,131m
恵山北海道618m

東北(10火山)

火山名所在地標高
岩木山青森県1,625m
八甲田山青森県1,585m
十和田青森県・秋田県1,159m
秋田焼山秋田県1,366m
岩手山岩手県2,038m
秋田駒ヶ岳秋田県・岩手県1,637m
栗駒山岩手県・宮城県・秋田県1,626m
蔵王山宮城県・山形県1,841m
吾妻山福島県・山形県2,035m
安達太良山福島県1,700m

関東・中部(12火山)

火山名所在地標高
磐梯山福島県1,816m
那須岳栃木県1,915m
日光白根山栃木県・群馬県2,578m
草津白根山群馬県2,165m
浅間山群馬県・長野県2,568m
榛名山群馬県1,449m
赤城山群馬県1,828m
新潟焼山新潟県2,400m
焼岳長野県・岐阜県2,455m
乗鞍岳長野県・岐阜県3,026m
御嶽山長野県・岐阜県3,067m
富士山静岡県・山梨県3,776m

伊豆・小笠原諸島(9火山)

火山名所在地標高
箱根山神奈川県1,438m
伊豆東部火山群静岡県
伊豆大島東京都758m
新島東京都432m
神津島東京都574m
三宅島東京都775m
八丈島東京都854m
青ヶ島東京都423m
硫黄島東京都(小笠原)170m

九州・南西諸島(10火山)

火山名所在地標高
鶴見岳・伽藍岳大分県1,375m
由布岳大分県1,583m
九重山大分県1,791m
阿蘇山熊本県1,592m
雲仙岳長崎県1,483m
霧島山(新燃岳)宮崎県・鹿児島県1,700m
桜島鹿児島県1,117m
薩摩硫黄島鹿児島県704m
口永良部島鹿児島県657m
諏訪之瀬島鹿児島県796m

※常時観測火山の対象は火山噴火予知連絡会の検討により追加・見直しが行われます。最新の対象火山は気象庁の火山情報をご確認ください。全国の活火山は日本の活火山一覧で確認できます。

常時観測火山では何を観測しているのか

常時観測火山には複数の観測機器が設置され、そのデータが気象庁の火山監視・警報センターへリアルタイムで送られています。主な観測項目は次の5つです。

  • 地震計 — マグマや熱水の動きで発生する火山性地震・火山性微動をとらえます。噴火の前兆として最も早く変化が現れることが多い項目です。
  • 傾斜計 — 山体がわずかに膨らむ変化(地殻変動)を検出します。マグマが浅い場所へ上がってくると山が数マイクロラジアン単位で傾きます。
  • GNSS(GPS)観測 — 山体全体の伸び縮みをcm単位で測ります。有珠山や桜島では噴火前の山体膨張がとらえられてきました。
  • 空振計 — 噴火に伴う空気の振動(空振)を検出し、噴火の発生時刻と規模の把握に使われます。
  • 監視カメラ — 噴煙の高さ・色、夜間の火映(火口が赤く光る現象)を目視で確認します。多くはライブ映像として公開されています。

これらに加えて、上空からの熱赤外観測火山ガスの現地調査、大学・研究機関の観測データも組み合わせて評価されます。詳しくは火山の観測・研究ガイドでも解説しています。

常時観測火山はどう選ばれているのか

選定は「噴火の可能性」と「噴火したときの影響の大きさ」の両面から行われます。具体的には次のような火山が対象になります。

  • 過去100年程度の間に噴火した、または活発な噴気活動がある火山
  • 過去1万年以内に噴火があり、火口周辺に居住地域や観光地・登山道がある火山
  • 大規模噴火の履歴があり、噴火すれば広域に被害が及ぶ火山

2016年には八甲田山・十和田・弥陀ヶ原の3火山が追加され、対象は47から50に拡大しました。逆に、活火山であっても人が近づかない海底火山や離島の一部は常時観測の対象外で、衛星や周辺の観測網で状況が把握されています。

常時観測火山と噴火警戒レベルの関係

常時観測火山の多くでは噴火警戒レベルが運用されています。ただし両者は完全に一致するわけではなく、レベルが運用されているのは常時観測火山を中心とした50火山で、観測はしていてもレベル運用がない火山も存在します。現在のレベルは噴火警戒レベル一覧でまとめて確認できます。

よくある質問

常時観測火山とは何ですか?

気象庁が火山監視・警報センターで24時間365日、地震計・傾斜計・GNSS・空振計・監視カメラなどを使って継続的に監視している火山のことです。日本の111活火山のうち50火山が対象で、火山噴火予知連絡会が「監視・観測体制の充実等が必要な火山」として選定しています。

常時観測火山は何座ありますか?

50火山です。2009年に47火山で運用が始まり、2016年に八甲田山・十和田・弥陀ヶ原が追加されて50になりました。北海道9、東北10、関東・中部12、伊豆小笠原9、九州・南西諸島10といった構成です。

富士山は常時観測火山ですか?

はい。富士山は常時観測火山の一つで、山体周辺に地震計・傾斜計・GNSS観測点・監視カメラが設置され24時間監視されています。最後の噴火は1707年の宝永噴火ですが、大規模噴火の履歴と首都圏への影響の大きさから重点的に観測されています。

常時観測火山ではない活火山は危険ではないのですか?

常時観測の対象外でも活火山であることに変わりはありません。対象外なのは主に、人が居住・立ち入りしない海底火山や離島の火山です。これらも衛星観測や周辺の地震観測網、海上保安庁の航空機による監視で状況が把握され、異常があれば噴火警報が発表されます。

観測データはどこで見られますか?

気象庁の火山監視ページで、各常時観測火山の火山性地震の回数、監視カメラの画像、月ごとの火山活動解説資料が公開されています。防災科学技術研究所のV-netや大学の観測サイトでも、地震波形や地殻変動のデータを見ることができます。